デオドラントを使用しても改善しない場合は、医療機関でワキガ治療を行うという手もあります。
ワキガ治療には数多くの手法があり、医療機関によっては取り扱っている治療方法が異なります。
この記事では古典的な外科的治療法からメスを使用しない最先端の治療法まで、医療機関で行っているワキガ治療について紹介します。
外科的治療法
高度な機器を使用せず、医師がメスなどを使って汗腺を除去する手法。
・切除法
古典的な手法で現在では行われていない治療法。
脇毛の生えている部分と皮下脂肪をまるごと切り取り、その後縫合するという単純な方法です。
脇下の汗腺を取り除けば良いという合理的な方法ですので、間違いなくワキガ改善に繋がります。
しかし、皮膚の引きつりなどの後遺症のリスクが極めて高いです。
・せんじょ法(皮弁法)
脇下の2、3箇所に4センチほど切開して皮膚を裏返し、アポクリン汗腺を目視確認しながら、少しずつ切り取っていく方法です。
確実に汗腺層を除去することで、高い治療効果が得られます。
しかし、医師の技術力に依存する方法なので、アポクリン汗腺の取り残しや皮膚に穴が空いたり、薄く切りすぎたりして、壊死してしまうことがあります。
また切開はシワに沿って入れますが、傷跡の不安は避けて通れません。
保険適用となる治療法なので、他と比べると費用は安いです。
・クワドラカット法
脇に約5mmの切開を入れて、アポクリン汗腺層と脂肪層の間で剥離して、皮弁側に残ったアポクリン汗腺を少しずつ削除・吸引していく方法です。
手術終了の目安としては、皮膚をつまんでその厚みが3mm程度になっていること、また脇毛をつまんで抵抗なく抜ける程度としています。
剥離した皮膚が浮かないようにアンカーリング縫合をし、止血止め入り生理食塩水で洗浄、最後に血抜きの為にチューブを入れて、ガーゼなどで圧迫固定を行います。
2~3日後に血抜きチューブは取り外します。
小さい穴から手探りで汗腺類を掻き取るため、しっかりとろうとすると周辺組織を傷つけてしまう可能性があります。
医師の技術力によりますが、結果として術後の回復が遅れることがあります。
・超音波法
脇の皮膚を数ミリ切開し、そこから超音波が発生する細い管を差し込んで汗腺類を破壊する治療法です
超音波機能のもつ細い管は先端に毎秒2800回以上という超高速の往復運動を繰り返しており、この振動エネルギーで汗腺を破壊します。
発生させる超音波の周波数や出力を調整することで、血管や神経を傷をつけず、汗腺類だけを破壊できます。
これもクワドラカット法と同様に手探りなので汗腺類の取り残しのリスクがあります。
非外科的治療法
メスを使用する外科的治療とは異なり、高周波を利用して皮膚を切らずに治療する方法。
・ミラドライ
マイクロウェーブを照射できる特殊な機器を使用して、脇の汗腺を熱破壊する方法です。
マイクロウェーブは電子レンジに使用される原理と同じで、照射されると汗腺にある水分が分子レベルで振動して発熱します。
この方法は皮膚の表面など他の組織は壊さず、汗腺類だけを破壊できる方法です。
切開しないので、傷跡は残りませんし、術後の固定がありません。
腕の動きの制限はないので、私生活や仕事に大きな影響を与えることはありません。
処置は短時間で完了してしまいますので、忙しくて時間が取れないという方には、大きなメリットです。
また厚生労働省の認可を得ている医療機器ということもあって安心です。
デメリットとしては汗腺類の状態を確認できない為に取り残してしまうケースがあります。
・ビューホット
ビューホットは高周波の極細針を装着したカートリッジを脇下に当てる治療なので切開しないでワキガ・多汗症治療が行えます。
36本の極細針にはRF(ラジオ波)を照射する機能が備わっており、これも直接皮膚に当てることで効率的に汗腺類を破壊することができます。
その為、処置時間は両脇20〜30分(個人差はあります。)で完了します。
術後は入院・通院する必要はありませんので、忙しい方には大きなメリットがあります。
術後の固定はありませんし、翌日からシャワーも可能となります。
ラジオ波と聞くと怖いイメージがありますが、エステサロンでも使用されており、内部を温めて代謝や排出を促す目的で利用しています。
治療前には局所麻酔して、皮膚表面を冷やしながら治療を行う為、痛みが不安な人でも安心です。
ワキガの原因であるアポクリン汗腺だけではなく、エクリン汗腺も処理できるので多汗症の治療にも利用できます。
医療機関によっては上記手法を応用して新たな手法を採用しているので、数多くの治療法が存在します。
例えば、川崎中央クリニックではビューホットとマイクロ波を利用した治療法を組み合わせることで一回の治療効果を高めています。
クリニックで治療するならいつ頃が良いか
治療後はしばらく傷やむくみなどが目立ってしまうので、肌の露出の少ない冬場が最適です。
また冬場であれば、汗による患部へ影響は少なく、術後の経過が良好にいくメリットがあります。
デオドラントで改善されないワキガの方は、冬のうちに解決するのがオススメです。
まとめ
現在行われいる主なワキガ治療法をまとめると以下のとおりになります。
改善効果 | 通院 | 傷跡 | 費用(目安 | |
せんじょ法 | ◎ | あり | 大きく残る | 3~4万円 |
クワドラカット法 | ○ | あり | ほとんど残らない | 30~40万円 |
超音波法 | ○ | なし | ほとんど残らない | 30~40万円 |
ミラドライ | △* | なし | 残らない | 20~40万円 |
ビューホット | △* | なし | 残らない | 30~40万円 |
*複数回または照射時間を増やすことで改善効果は高められます。
ワキガ治療は大きく進化して多様な方法を選ぶことができるようになりました。
ほとんどの医療機関ではカウンセリング料が無料なので専門医と気軽に相談できます。
自分にあった治療法をみつけて検討してみてはいかがでしょうか。